薄暗くなり、そろそろ帰ろうということになった。

「叶ちゃん、バイバイ」

「また明日ね」

咲彩と駅でバイバイしてから、駅の階段から裏手に回り直結している自宅マンションへ。

この辺では大きな主要の駅の中は、たくさんの人で混雑している。駅直結のショッピングモールや飲食店がずらりと並んでいて、暇つぶしにはとても最適。

繁華街もあってそこにはカラオケや漫画喫茶、ゲームセンターなど、学生でも遊べる場所がたくさんある。

家からすぐだということもあり、暇さえあると特になにをするわけでもないけど、よくこの辺をぶらついているんだ。

中でも特に、歩道橋から遠くのほうに沈んでいく夕陽をぼんやり見るのがとても好き。

──ピコン

その日の夜、メッセージが届いた。

「う、ウソ、斎藤くんからだっ」

な、なんで?

連絡先を交換してはいたけど、まさか送ってきてくれるなんて思ってなかったから、しばらく放心状態でスマホの画面を見つめる。

『おつかれー( ˙꒫˙ )最近冷やかしがすごいから、俺らが付き合ってることは、みんなにはヒミツでよろしく!』

要件だけのシンプルなメッセージ。

あたしと付き合ってること、みんなに知られたくないんだ……。

冷やかされるの、嫌いっぽいもんね。

そういえば、斎藤くんが自分の口から彼女ができたって言ってるのを聞いたことないな。

いつも周りに問い詰められて渋々認めたり、相手の女の子が自分で言い回って、それが噂になってあたしの耳に入るっていう形だった。