ついこの前入学したばかりだと思っていたのに、高校卒業まで一年を切ったなんて信じられない。過ぎてみれば今日まであっという間だった。

「虎ちゃんは小学校の先生になりたいらしくて、今年に入ってから塾に通い始めたんだ。夏で部活も引退だし、周りがどんどん変わってくから余計に焦る」

「あの末永くんが小学校の先生?」

「小学生にバスケ教えるんだって、張り切っちゃって大変だよ。バスケじゃなくて、勉強教えるってわかってんのかな」

「あはは」

他愛もない話をしながら過ぎていく時間が心地いい。

「そういえば、来月学校祭だね。二年の時は実行委員で大変だったけど、三年って基本的に模擬店とかやらなくていいからめちゃくちゃ楽だよね」

うちの学校では、珍しく六月に学校祭が執り行われる。なんでも校長先生の誕生日が六月だから、そのお祝いも兼ねてのことらしい。

私たち三年生は受験に響かないように、クラスでの催し物は各クラスで話し合って参加するかしないかを決めるという形を取っている。

もちろん最後の思い出作りにと参加するクラスがほとんどなんだけど、まれに参加しないクラスもあるらしい。

今年は全クラス参加することになっているが、飲食などの模擬店は基本的に一、二年生が担当するのでそれ以外の催し物だ。

「叶ちゃんのクラスはなにをするの?」

「縁日だよ。スーパーボールすくいと、輪投げと、ペットボトルボーリング。スコア制にして、点数に応じて景品を渡すの」

「へえ、面白そう。うちは紫陽花をモチーフにしたアクアリウムだよ」

「うわっ、興味あるー!」

「でしょでしょ? 時間あったら遊びに来てね。あたしも虎ちゃんと叶ちゃんのクラスに遊びに行くし」

「うん、もちろんだよー!」

あたしたちは日が暮れるまで何気ないことを話した。