告白相手は、学年でもかわいいと言われている背が低い癒し系のふわふわ女子だった。線が細くて華奢で、いかにも守ってあげたくなるような子だ。

ああ、敵わない。きっと斎藤くんは、この子と付き合うんだろうな。

今までの彼女の系統から考えても、ドンピシャなタイプだと思う。

あたしみたいな根暗で大人しい奴は、斎藤くんには似合わない。

斎藤くんに似合うのは、明るくてかわいい輪の中心にいるような女の子だ。

でも……いいの?

本当に、これで……。

「前の彼女とは別れたんだよね? だったら、次はあたしと付き合ってよ」

「…………」

「ねぇ、お願い!」

教室の中には緊迫した雰囲気が漂っている。斎藤くんはあたしに背を向けてるから、どんな表情なのかはわからない。

女の子は両手で斎藤くんの手をギュッと握って、上目遣いで攻めている。

「あたし、色んなことに自信があるよ?」

色っぽくて誘うようなその目つき。

この子は自分に自信しかないんだろうな。

「きっと、コジローくんを満足させてあげることもできると思う」

ま、満足って……。

きっと、そういうことだよね。

心臓が痛くて、苦しくて。

気がつくと無意識に教室のドアに手をかけて、思いっきり引き戸を引いていた。

──ガラッ

「だ、ダメッ!」

そしてとっさに飛び出していた。身体が勝手に動いていたんだ。

「だ、誰? なに?」

大きなぱっちりおめめの女の子が困惑したようにあたしを見る。

「きゅ、急に出てきてごめんなさいっ!」

「だ、誰? あんた」

「青野です」

「意味がわからないんだけど。人の告白の邪魔しないでよ」

斎藤くんの前ではしおらしい態度だったのに、あたしをギロリと睨む女の子の形相はとても怖かった。

「ごめん、なさい。気づくと身体が勝手に動いてて……」