斎藤くんのことを信じるって決めたの。

試合は激しい攻防戦の末に、我が校の男子バスケ部の勝利で幕を閉じた。

今日勝ち進んだということは、斎藤くんの引退が遠のいたということ。

もう一度試合の応援に来られることがうれしくて、それも彼女の特権なんだよなぁと思ってみたり。

あはは、恥ずかしい。

斎藤くんはうれしそうにチームのみんなと抱き合って喜びを全身で表現している。

子どもみたいな無邪気な笑顔。

バスケをする真剣な姿も、ふざけてみんなを笑わせるところも、場を盛り上げようと努力してるところも、どうしようもないくらい全部好き。

そんな斎藤くんの姿を、ずっとそばで見ていたい。

「そういえば、差し入れはなにを作ってきたの?」

「あ、はちみつレモンゼリーだよ!」

「にしては、カバンが大きくない?」

「うん、バスケ部のみんなへの差し入れだから」

たくさんの保冷剤を入れたバッグの中には、小さなはちみつレモンゼリーがたくさん入ってる。

さっぱりするような味わいで、なかなか美味しくできてよかった。

「すごいね、全員に差し入れなんて」

「だ、だって、差し入れって普通は全員にするよね?」