これから先も、斎藤くんと色んなことを経験するのかな。

考えただけで恥ずかしい。

両想い、なんだよね……。

なんだかまだ信じられなくて、斎藤くんのホントの彼女になれた実感がわかない。

「叶ちゃん、すごく幸せそうな顔してるね」

「えへへ、うん」

「よかった! お幸せにね〜!」

「いろいろ心配かけちゃってごめんね」

「なに言ってんの〜! あたしは、叶ちゃんが幸せならそれでいいんだから! あ、それより伊藤くんの告白はちゃんと断ったの?」

咲彩がぎこちなく笑ってあたしの顔を見つめる。

「うん、ちゃんと断ったよ」

伊藤くんは昇降口でのあたしと斎藤くんのやり取りを見ていたようで、素直に自分の気持ちを伝えると、最終的にはわかってくれた。

ごめんねと謝るあたしに、伊藤くんは笑顔で『気にすることないよ。はっきり言ってくれて、スッキリした』と言ってくれたんだ。

どこまでも優しくて思いやりのある伊藤くんに、もう一度心の中で謝ってからその場を離れた。

戻ると斎藤くんは若干ムッとしたような顔をしていたけど、あたしは伊藤くんとのことを詳しく話さなかった。

あたしも……真央ちゃんと斎藤くんがなんで一緒にいたのかは聞いてない。

あたしを選んでくれた、その事実だけで十分だから。