「マジ? 叶ちゃんの手作り?」

「あはは、まぁ、一応」

「やった! うれしい! ゼリーとかスッキリする食べ物がいい!」

「わかった! がんばる!」

ヤバい、手作りとかうれしすぎて顔がニヤける。

「斎藤くんって、意外と単純なんだ?」

呆然とする市口さんは、どうやら

「だったら悪いかよ?」

「咲彩、コジローは昔からこんな奴だって。近頃は俺らの前でも、顔ゆるみっぱなしだったんだからな」

「なんだよ、虎。恥ずいこと言うなって」

「いいだろー、かわいいかわいいコジローくん!」

「うっせー、バカ」

頭をガシガシ撫でられて、まるで小さな子ども扱い。そんな虎の手を振り払い、ムッと唇を尖らせる。

「コジローめ〜、バカって言うほうがバカなんだからなっ!」

「俺、おまえよりテストの点数よかったもん」

「はぁ? 俺だって」

「ガキ……」

言い合う俺たちに、市口さんが呆れたようにつぶやいた。

叶ちゃんは隣でクスクス笑っていて、笑顔が見られるならもう、なんでもいっかって、やっぱり俺は単純だな。

「あ、伊藤くん……斎藤くん、ちょっとごめんね」

そんな中叶ちゃんが登校してきた伊藤の元へと、走って行く。