「隣のクラスの女子が呼んでるぞー!」
「なんだよー、また告白か?」
「おまえばっかり、ずりーぞ!」
「はは、悪い悪い。ひがむなって」
お昼休みに入ってそれは訪れた。
斎藤くんのことだ、きっとすぐに次の彼女が……できる。
胸がヒリヒリして、奥のほうがえぐられるように痛い。笑顔で手を振り教室を出て行く斎藤くん。
多分……男友達が言うように、告白、だよね。だってそれ以外にない。
斎藤くんが教室に帰って来た時『彼女ができた』なんて報告は当然だけど聞きたくない。
じんわりと涙が浮かんで、あたしはそっと席を立った。
斎藤くんには……すぐに次の彼女が……。
どうしてそれは、あたしじゃダメだったんだろう。
教室を出てトボトボと当てもなく歩いた。お昼休みの校舎内は、どこか活気があって騒がしい。
きっとこんなに沈んでいるのは、あたしだけ。
なんとなく階段を上って四階へと向かった。ぼんやりしながら空き教室のそばまできた時、くぐもったような誰かの話し声が聞こえて足を止める。
「コジローくんのことが好きなの! ぜひあたしと付き合って下さい」
まさか……。
ドアの透明のガラス窓から中を覗くと、そこにはさっき出て行ったはずの斎藤くんの姿があった。
逃げたくて出てきたのに、どうして出くわすの。



