「なっ……」

俺のそのひとことで、言葉を詰まらせ、真っ赤になる叶ちゃん。

反応がかわいくて、ついつい甘いセリフを吐きたくなる。

もっともっと、俺を好きになればいい。

頭の中が、俺でいっぱいになればいい。

そんな思惑を秘めて、今日も、明日も、明後日も、俺は叶ちゃんの隣で甘い言葉を吐き続けよう。

「ヒュー、コジローカッコいい〜! おまえら、できてたんだな。知らなかった!」

登校してきた虎が笑顔で手を振りながら俺たちの元へとやってきた。

「叶ちゃん、おはよう! 大丈夫?」

「さ、咲彩、おはよう」

「それより、どういうこと? うまく、いったの?」

「ふふ、うん」

「そっか……うれしいような、複雑なような。斎藤くんっ!」

虎の彼女の市口さんは、俺をキッと睨みつけた。

「叶ちゃんの親友としてひとこと言わせてもらうね」

「はは、うん」

「叶ちゃんを泣かせたら絶対に許さない。傷つけたら、もっと許さない。地獄の底まで追いかけて呪ってやるから、覚悟してね」

市口さんは鼻息を荒くして頬は紅潮気味。真剣な様子が伝わってくる。

それだけ叶ちゃんのことを心配してるんだろう。