「俺のだから」

威嚇するように周囲に視線を向けてそう言い放った。

「え、ウソ、マジ? コジローくんって、青野さんと付き合ってんの?」

「えっ!? ほんと?」

「やだーっ、信じらんない」

「ショックなんだけど〜!」

女子の雄叫びが次々に沸き起こった。

叶ちゃんは困惑顔で俺の横顔を凝視している。

「なんで青野さんなの?」

「どうせすぐ別れるでしょ」

「そしたら、次はあたしを彼女にして〜!」

「青野さん、目を覚ませ〜!」

「斎藤に遊ばれて即ポイされるのがオチだぞ」

は?

なんだよ、それ。

俺は周囲を見渡し、男たちを睨みつけた。

普段ならこんなことは絶対に言わない。

「俺のほうがベタ惚れだから、手ぇ出すなよ?」

おまえらマジで、叶ちゃんに視線を向けるんじゃねー。その視線にすら、俺はイライラして仕方なくなる。

「ま、マジかよ。斎藤がベタ惚れって」

「きゃあああ、やだぁぁ」

「なんで〜!!」

あちこちから悲痛な声が上がって、叶ちゃんがボソッと口を開いた。

「す、すごいね、さすがモテ男だ」

「そ? 俺は好きな子だけにモテたらそれでいいんだけど」