「ねぇ、今日の小次郎おかしいよ?」

「はぁ? なにがだよ、おかしくねーし……! ぐほっ、げほっ」

「いいや、おかしい。顔がゆるみっぱなし。ご飯むせすぎ」

夜ご飯の最中に、姉ちゃんが身を乗り出してマジマジと俺の顔を見つめてくる。

冷静に俺を分析しているような真剣な眼差しだ。

「わかった!」

姉ちゃんは人差し指をピンと立て、なにかをひらめいたかのような笑みを浮かべる。

「小次郎、あんたって子は、この〜!」

なにがだよ、くだらない。スルースルー。

「好きな女の子ができたんでしょ?」

「うぐっ、ごほっ!」

「はっはーん、図星だな」

「ちっ、ちげーし!」

「へぇ、それでどんな子なの?」

「だからちがうっつってるだろ!」

「ムキになっちゃって、あっやしー!」

この勝ち誇ったかのような顔、マジでムカつく。

俺のことならなんでもお見通しっていうような態度にも、イラッとする。

「いいじゃないの、恋愛したって。最近の小次郎は、いい顔してるよ?」

「なんだよ、いい顔って」

「キラキラしてる。姉ちゃんには、若さがまぶしいほどに」

「はは、ババア発言だな」

──バシッ

「いてっ」