斎藤くんの本音がひしひしと伝わってくる。
自分がまちがっていたことに気づくのは、容易なことじゃない。
「そんなこともあって、逃げるのはやめて真面目になろうと思ったんだ。本音を隠さず、言いたいこと言って、腹を割って話す。そういう生き方をしたら、変われるかな。いや、変わりたいって思った」
斎藤くんはあたしから上半身だけを離すと、優しい眼差しであたしを見つめる。
大切なものを慈しむような穏やかな瞳。
「失敗からなにかを学ばないと、また同じ失敗を繰り返すだろ? 俺、もう二度と後悔はしたくない。大切な人を、三度も失うのは嫌なんだ……」
大切な人……。
その中にあたしも入ってるのかな。
そうだとうれしい。
「叶ちゃんだけは、絶対に手放したくない」
「あ、あたしも、ずっと斎藤くんの隣にいたいよ……」
「当然だろ。嫌だって言っても、離してやんねーから」
ゆっくり斎藤くんの顔が近づいてきたかと思うと、二度目のキスが落とされた。
斎藤くんは角度を変えて何度も何度も、唇を押しつけてくる。
「んっ」
信じられないくらい熱い唇に甘い吐息。
「叶ちゃん、好きだよ」
「う、ん、あたしも」
「まだまだ足りない──」
「……っ」
「もっと俺を、好きになれ」
「なっ、これ以上好きになったら心臓が破裂するよ」