『屋上で待ってる』

放課後になって掃除が終わって教室に戻ると、斎藤くんからスマホにそんなメッセージが届いていた。

『今から行くね』

そう送り返して、あたしは足早に教室を出ると屋上へと急いだ。

階段を一段飛ばしで上がり、鉄製の重たいドアの前で深呼吸をする。

大丈夫、大丈夫だよ。

緊張して弾む鼓動を落ち着かせるように、必死に自分にそう言い聞かせる。

そして、ゆっくり屋上のドアの取っ手に手をかけた。

──ギィィィ

ドアを開けると、最初に目に飛びこんできたのはまぶしい太陽の光だった。

焼けつくように熱い地面の上を歩くと、汗がじわじわ浮かんでくる。

斎藤くんは屋上のフェンスから外の景色を眺めるように立っていて、あたしがきたことに気づくとゆっくり振り返った。

「あっちーよな、ここ」

そう言いながらぎこちなく笑ってくれたけれど、気のせいかな、その笑顔はなんだか元気がないように見える。

「ごめんね、お待たせ」

「うん」

生温い風に吹かれて揺れる、斎藤くんの茶色い髪。太陽の光に反射して、キラキラ輝いている。

「話ってなに?」

「あ、うん……あの、ね」

──ドクンドクン

ありえないくらい緊張してる。