どうすればいいのかわからない。

斎藤くんのことはもちろん好きだけど、このままでいるのはツラいよ……。

だったらもう、ぶつかって砕けろ的な……?

砕ける勇気があたしにはない、ただそれだけのことだ。

「コジローくんさぁ、最近、付き合い悪いよね。どうしちゃったの〜?」

「べつに」

「なーんか、そっけないしさぁ」

「そ? 普通だよ」

教室でいつものようにたくさんのクラスメイトに囲まれている斎藤くん。

「ねぇ、今日クレープ食べに行かない? 二人でさ、ね?」

「パス」

「えー、なんでー?」

花岡さんの甘ったるい声が、今日はやけに耳につく。

「真面目に生きようと思って」

「え、真面目に生きる? コジローくんが? あはは、それ本気で言ってるの〜?」

小さく噴き出すように笑う花岡さん。コソッと盗み見した斎藤くんの横顔は、ビックリするくらい真剣だ。

「本気だよ。この先俺が花岡さんと二人でどこかに出かけることは、絶対にないから。花岡さんに限った話じゃないけど」

「なっ……!」

その言葉に花岡さんだけじゃなく、クラスの中がどよめいた。

どうして突然そんなことを言い出したのか、あたしにもわからない。

でも、だけど、きっと、真央ちゃんのことが関係してる。

そう思うと、胸が激しく締めつけられた。グリグリとなにかで圧迫されるように痛い。

涙が出そうになって、あたしは思わず立ち上がって教室を飛び出した。