真央のためを想って身を引いた──。
そんなのは俺のエゴで、実際には俺が、俺自身が傷つきたくなかったから。
真央の気持ちが俺から離れていってると思いこんで、振られる前に振ろうって……そんな身勝手な思いで、俺は真央を振った。
「あたしね、ホントは別れたくないって言いたかった……でも、コジローくんはもう別れることを決めてて。あたしにそんなことを言う隙を与えてくれなかったよね」
それなのに、俺がまちがっていたとでもいうのかよ。
「ごめん……俺、最低だな」
自分のことしか考えてなかった。
なにやってんだ、マジで。
バカじゃねーの。
どうして真央の気持ちを考えてやれなかったんだよ。
「コジローくんは悪くないよ。コジローくんと初恋相手との間で揺れてたあたしも悪いんだから」
初恋相手と比べられて、俺なんかが選ばれるわけがないと思っていた。
俺からバスケを取ったらなにも残らない。中身のない俺なんかが、選ばれるわけないって。
「コジローくんの気持ち、聞かせてくれないかな……?」
「…………」
真央を選べば、今度はまちがいなく幸せになれるのかもしれない。
また、楽しかったあの頃みたいに、毎日笑ってすごせるのかもしれない。
でも、だけど。
今、俺の心を占めるのは──。