そう言ってうつむく真央との間に変な空気が流れる。沈黙が一分ほど続いたあと、恐る恐る顔を上げた真央の目にはうっすら涙がにじんでいた。

「あ、あのね、あたし……ずっと、コジローくんのことが忘れられなくて……っ。今でも、好きなの……だ、だから、もう一度あたしを、コジローくんの彼女にしてください……っ!」

単刀直入で、まっすぐな言葉。真央の声と華奢な肩が、小刻みに震えている。

緊張感が伝わってきて、なんだか俺まで緊張してきた。

きっと、こういう話なんだろうってことは頭のどこかで予想してた。

でも──。

「意味わかんねーし。なんで、今さら……」

真央には他に好きな男がいて、そいつとうまくやってるんじゃなかったのかよ。

「コジローくんに振られてから、本気で好きだったのはコジローくんだってことに気づいたの。だからあたしは、他の誰とも付き合えなかった……」

「え……」

なんだよ、それ。

なんで……。

「二年以上も時間が経ったけど、全然忘れられなくて。だから、伝えようって決めたの。もう一度、コジローくんの隣で笑いたいんだけど……ダメ?」

「…………」

「なんで今さらって思うよね……。でもあたしもツラかったの。コジローくんはあたしをあっさり振るし、大して好かれてなかったのかもって思ったら……会いにいく勇気がなくて」