真央と一緒にいても真央は心ここにあらずで、ぼんやりすることが増えた。

やっぱり、あいつのことが好きなのかよ。

真央とは友達のように仲がよくて、ずっと笑っていられる、そう思っていたのに……。

無理かもしれない。永遠なんて言葉は、この世にないんだ。

家族を捨てて出て行った母親の姿を思い出し、胸の奥が締めつけられて苦しくなった。

結局みんな、俺から離れていく。

このままだと真央もきっと……。

引き止めるすべなんて知らない。

母親の姿と重なってツラかった。

俺にできる唯一のことといえば、物わかりのいい男のフリをして、笑顔で真央と別れてやることくらいだ。

他に好きな男がいる女と一緒にいても、お互い幸せにはなれない。

諦めぐせがついていた俺には、そうするしかないと思った。すがって、引き止めるなんてカッコ悪すぎる。

そういう姿は見せたくなかった。

だから──。

ホントにほしいものを心の奥に隠して、閉じこめて、出てこないように蓋をして、冷静なフリをする。

出てきそうになったら笑ってごまかして、うまく交わして逃げて、上からどんどん新しいものを詰めこんでいく。

そうすれば傷つかなくてすむ。

だから俺は何事も最初から諦めて、本気で何かを求めたことがない。

本気になって、その結果がもしダメだった場合、ズタボロになって傷つくのは俺なんだ。

無意識にそういう防衛反応が働いたんだと思う。