──ピロリン

『もう一度、話がしたいです』

シャワーを浴びて部屋に戻ると、そんなメッセージがスマホに届いていた。

トップ画面を流し見して、メッセージを開くことはしない。

だから既読がつくこともなく、このまま何事もなく流れてくれればいいと思った。

学校祭の日から十日近くが経っている。その間に何度かメッセージがきたけど、既読スルーどころか、開いてさえいない。

『傘を返したいんだけど』

返さなくていいと言ってかしたから、返してもらうつもりはない。

もう一度話がしたいって……。

今さら話すこともないし、どういうつもりでそんなことを言ってるのか考えたくもない。

スマホをテーブルの上に放置したまま、ベッドの上にゴロンと横たわる。

「はぁ」

真央とは中一の時に同じクラスだった。

明るくて無邪気で、太陽みたいにまぶしい笑顔。気が強くてワガママなとこもあったけど、俺たちは仲良くなって、放課後にみんなで一緒に遊んだり、よく一緒にいるようになった。

真央といると楽しくてどんな時でも笑っていられた。毎日が楽しくてバカなこともいっぱいやったし、いつしか真央は俺にとって特別な存在になっていた。