「笑いごとじゃねーし!」

「う、ご、ごめん……」

「ナンパされてた女の子を助けた? それは叶ちゃんの役目じゃないだろ? 他に助けを呼びに行くとかさ」

「で、でも、困ってたし、助けてっていう目で見られて、見離すことができなかったんだもん……」

そして、あたしが助けたのは斎藤くんの元カノです。

「はぁ。叶ちゃんさ、もうちょっと自覚しろよ」

「自覚?」

スネたような目つきで、斎藤くんは一歩ずつ近づいてくる。そして、手首を握られた。

「守られるべき、か弱い女の子なんだってこと」

ま、守られるべき、か弱い女の子……?

「あ、あたしが……?」

守られるべき、女の子?

「なにマヌケな顔してんだよ」

「だ、だって、そんなの考えたこともない」

「これだから無防備なんだよ、叶ちゃんは」

なんだか怒られてしまった。心配させてしまっていることが申し訳ない。

「き、気をつけ、ます」

「ん、よろしい」

しぶしぶだけど、どうやら納得してくれたらしい。

そのままギュッと手を握られて、腕をひかれる。

「あ、あの、手が……なにかのまちがいじゃないですか?」

動揺しすぎて、おかしくなった。