あれから三日、斎藤くんとは何事もなかったかのような日々が続いている。
歩道橋から下を覗いて、いったいどれくらいの車を見送ったんだろう。
七月に入ったけど、まだ梅雨が明けなくてジメジメした空気が肌にまとわりつく。
帰らなきゃいけないのに足が動かない。
「あっれー? この前の子じゃーん!」
え?
うつむかせていた顔を上げると、そこにはガラの悪い男子校の制服を着た金髪の男が見えた。
通りすがりに、あたしの顔を覗きこむようにしてこっちを見ている。
こ、この人……。
どこか見覚えがあるライオンのように派手な金髪。しかも今日は一人ではなく三人だ。
「あの時はよくも逃げてくれたなぁ」
「あ、えと……」
ど、どうしよう。
相手が一人ならともかく、三人となると前のようにはいかないかも……。
「え、なんだよこの子。めちゃくちゃ美人じゃん」
「はは、だろー? この前見つけた俺のお気に入り」
「へえ、だったら、たっぷりかわいがってやらないとな」
目が笑ってなくて不気味な笑顔だった。
「俺がこいつを堪能したあとは、おまえらにもかしてやるからよ」
な、なにを、言ってるの。
「ほら、行こうぜ」
「や、やだっ」
男二人に両脇をガチッと固められて、逃れられない。
や、やだ、気持ち悪い。
怖いよ。