えいえいって両手を持ち上げて、なかばヤケになりながらシュートを放っていると──。
「ダメだよ、そんな投げやりなシュートじゃ」
「だ、だって、届かないんだもん」
「もうちょいゴールに近い場所からやってみ?」
そう言われてあたしはゴールに近づいた。そして、真剣に狙いを定めて隅っこのラインを狙う。
今度こそっ!
「えい!」
たどたどしく飛んでいくボール。ゴールの縁に当たって跳ね返りそうになったけど、それでもなんとかネットをくぐった。
「やったぁ!」
まぐれだけどシュートが決まったことがうれしくて、思わず頬がゆるむ。
「イエーイ、やったじゃん!」
斎藤くんにハイタッチを求められて、勢いよく斎藤くんと両手を合わせる。
男の子らしくてゴツゴツした手に触れて、なんだかドキッとした。
「はは、叶ちゃんの手って意外とちっさいんだな」
──ギュッ
あろうことか、ハイタッチしたまま両手を握られてしまった。
「さ、斎藤、くん」
斎藤くんの大きな手は力強くてたくましくて、そのまま見つめ合っていると、恥ずかしすぎてどうにかなってしまいそう。
「あれ? そういえば、お風呂上がり?」
鼻先をあたしの頭に近づけて、クンクンと匂いを嗅がれる。



