それってワガママかな。

でも、だけど──。

斎藤くんの隣にいればいるほど、あたしのことを好きになってほしいって、強くそう願ってしまう。

斎藤くんの心がほしいよ──。

──ヴーヴーヴーヴー

ぼんやりしていると、ポケットに入れていたスマホが震えた。

サイレントにしているので音は出ない。ポケットから取り出し、画面を確認するとそこには斎藤くんの文字。

な、なんで……?

休みの日に、電話なんて初めてだ。

「も、もしもし」

「あ、叶ちゃん?」

「う、うん。こんばんは」

「はは、うん。こんばんは。突然ごめんな」

「ううん、大丈夫だよ。なにかあったの?」

笑ってはいるけど、なんとなく雰囲気というか声がいつもとはちがうような気がする。

もしかして、なにか悪い話でもされるのかな……。

自然と拳に力が入って身構えてしまう。

ドクドクと妙な胸騒ぎがする鼓動を必死に落ち着かせる。

「いや、ただ声が聞きたかっただけだよ。っていうか、今外?」

「あ、うん……」

声が聞きたかっただけ……。

う、うれしい。

初めてだよ、そんなこと言われたの。

「マジ? 俺も外にいるんだ。今からそっちに行くよ」

「え?」