こうして向かい合っていることでさえ、身体が熱くてどうにかなってしまいそう。
斎藤くんを前にすると、尋常じゃないくらい冷静でいられなくなる。
「日誌に俺の不幸をさらすなんて、よっぽど嫌われてるとしか思えないし」
「ち、ちがう……そんなんじゃ、ないよ。あれは……だから、その」
嫌ってるとか、そんなことあるはずない。むしろ……その逆。
「うん?」
「だから……えーっと……」
どう言えばわかってもらえるのかな。
「……好き」
「え?」
「あたし……斎藤くんのことが、好き」
「え、え?」
さらに大きく目を見開いて、斎藤くんは固まった。
し、しまった……!
あたし、今、なんて言った?
ほぼ無意識に、好きって……。
でも、これがあたしの本音。他にうまい言い訳が思いつかなかった。
「あ、あの、えっと……」
恥ずかしくて顔を上げられずにいると、目の前の斎藤くんは声を上げて笑い出した。
「ははは、青野さんでも、そんな冗談言うんだ?」
じょう、だん……?
斎藤くんはどこか困ったように笑っていて、それはまるで、あたしの気持ちが迷惑だとでも言いたそう。
胸がズキズキして、言葉が出ない。
斎藤くんは……冗談にしたいのかな。