スマホに視線を落とした斎藤くんの眉が、ピクッと反応したのを見逃さなかった。

どことなく漂う真剣な雰囲気。さっきまで笑って冗談を言ってたのがウソみたい。

「そ、そういえば、さっきバイブ鳴ってた。誰かからのメッセージ?」

「え? ああ……うん」

斎藤くんはあたしに目を向けることなく、ただじっと画面を見つめていた。

ねぇ……なにを考えてるの?

真央ちゃんからのメッセージを読んだんだよね?

斎藤くんにそんな顔をさせることができるのは、真央ちゃんが特別だから──。

そう考えたら胸がズキズキして、あたしの心の中はぐちゃぐちゃだ。

お願いだから、なにか言って。

「ただの友達だよ」

斎藤くんはそう言って返信することなく、スマホをポイッとベッドの上に放り投げた。

そして窓の外に目を向ける斎藤くん。

ここじゃない、どこか遠くを見つめる切なげな眼差し。

今ここにいないスマホの中の誰かを想っているように思えて、苦しくなる。

ただの友達……。

本当にそう?

あたしの勘違いなのかもしれないけど、なにか特別な感情がそこにありそうで、ただただ胸が痛かった。