──ヴヴ

「わっ」

短いスマホのバイブが鳴ってビックリしたのもつかの間、ローテーブルの上に置いてあった斎藤くんのスマホの画面に目がいく。

ロック画面に浮かび上がったのは──。

『真央』

名前と途中までのメッセージ内容だった。

真央、ちゃん？

ダメだと思いながらも目が離せなくて、読まなきゃいいのにメッセージの内容を目で追う。

『さっきは傘ありがとう。次会ったときに返すね。今度は、ゆっくり話がした──』

メッセージはそこで途切れていた。

ドクドクと変な音を立てて弾む鼓動。

無防備に置かれていたスマホの画面は、しばらくすると真っ暗になって光を落とした。

真央ちゃんからのメッセージ……。

さっきは傘ありがとうって……。

困ってた奴がいたから傘をかした。

それは真央ちゃんに、ということだったんだ？

斎藤くんはあんな言いかただったし、あたしは男友達にかしたのかなって勝手に解釈してた。

今度は、ゆっくり話がしたい。きっとそう続いているであろう文章。

斎藤くんはそれを見てどんな顔をするんだろう。

うれしいって思うのかな。

真央ちゃんと、会うの？

嫌だよ……。

斎藤くんは……真央ちゃんのこと、どう思ってる？