もっと俺を、好きになれ。


その後家に着くまでの間、斎藤くんは緊張して押し黙るあたしに色々話してくれた。

この前あたしがあげたクッキーをほとんどお姉さんに食べられちゃったこと、今日のクラスの縁日で、小学生相手にスーパーボールすくいに本気になったこと、女の子たちに差し入れをたくさんもらったこと。

だけど──。

その中にあたしとの空き教室でのことと、真央ちゃんのことは含まれていない。

女の子たちにもらった差し入れの話はするのに、真央ちゃんの話が出ないことに違和感を感じた。

少なからず、なにか思ってるってことだよね。

あたしのことは、話すほどのことじゃないのか、それとも気にもしていないのか……。

斎藤くんの中では、もう終わった話だと思っているのかもしれない。

だけど、真央ちゃんのことは?

なんとなくだけど、斎藤くんの中でまだ終わっていないような気がする。

ふと遠い目をしている斎藤くんの横顔が頭によぎって、なんでだろう、胸が苦しくなった。

斎藤くんの核心に触れるのが怖くて、それをぶつけることもできない。

斎藤くんはすぐそばにいるのに、心はこんなにも遠い。

あたしたちの関係をたとえるなら、どんななんだろう。

一応付き合ってはいるけれど、きっと、あたしたちの関係は友達と呼ぶには薄っぺらくて、恋人と呼ぶにはなにかが足りない。