腕を引かれてさらにドキドキした。
よく見ると斎藤くんの半身が傘から出ているような状態で、傘のほとんどをあたしのほうに差し出してくれていることがわかる。
「さ、斎藤くんが濡れちゃうよ」
そう言って傘を持つ斎藤くんの手を反対に持っていこうとしたら、逆にその手を今度は斎藤くんがつかんだ。
「俺はいいんだよ、もうすでに濡れてるんだから」
そんなことを耳元で優しく囁いて、フッと笑う斎藤くん。
どことなくエロくて、色気がたっぷりで、あたしの顔は一瞬で真っ赤になってしまう。
「叶ちゃんの手、すっげー冷たいじゃん。ごめん、待たせすぎたよな」
明らかに斎藤くんのほうが寒くて冷たいはずなのに、あたしの心配をするように眉を下げる斎藤くん。
「叶ちゃんが風邪引いたら俺のせいだな」
「あ、あたしは大丈夫。それより、斎藤くんのほうが重症じゃん」
「大丈夫だよ。こうやって叶ちゃんの手を握ってたら、じわじわ温かい気持ちになれるし」
「……っ」
ギュッと握られた手はすごく熱くて、雨によって奪われたはずの熱が一瞬で蘇る。
ああ、もうダメだ。
こんなに至近距離にいたら、色々と意識しちゃうよ。



