落ち着け、落ち着くんだ。

「ああ……久しぶり」

自分でもわかるほど声が上ずっていた。

久しぶりすぎて、まともに顔を見ることも、話すこともできない。

頭が真っ白で、なにも考えられなくなった。

なにを焦ってるんだ、俺は。平常心だ、平常心。

動揺していることを悟られたくない。

しっかりしろ。

気持ちが一気に中学時代に引き戻される感覚がして、胸の奥がジクジク痛んで、俺は笑顔を作るしかなくなった。

そうすれば煩わしいことから逃げられる。

楽に……なれる。

「コジローくんのバスケ姿、久しぶりに見ちゃった!」

ブランクがあるにも関わらず、まるでそれを一切感じさせないような明るい笑顔。

「相変わらずうまいね! 中学の時より、ずっとうまくなってる」

「そりゃ……どーも」

なんで普通にできるんだよ。

どういうつもりで……こいつは今ここにいるんだ。

聞きたいことはたくさんある。

「元気だった?」

「まぁ、それなりに……」

「そっか、楽しくやってるんだね。よかった」

「…………」