もっと俺を、好きになれ。


シュートが決まった瞬間、言いようのない気持ちがこみ上げた。スカッとするし、やっぱりうれしい、楽しい。

そんな気持ちにさせてくれるから、バスケって好きだ。

でも、なんでだよ。

振り切ろうとしてみても、さっきの叶ちゃんの顔が頭から離れないのは。

試合中、体育館の入口のドアをチラチラ気にしていた。

もしかしたら、叶ちゃんが俺のことを見てるかもしれない。俺のことを見てたらいいのにって、そんなバカなことを思ったんだ。

それなのに──。

「はぁ」

なんでいないんだよ。

なんて、突き放すように逃げてきたのは自分なのに、よく言う。

あれ以上一緒にいると、もっとみっともないところをさらけ出してしまいそうで嫌だった。

でも俺のことは見ていてほしいなんて、矛盾してるよな。

試合が終わり解散となったあと、体育館の入口付近で待機していた他校の女子たちにつかまった。

「こ、これ、差し入れです! よかったらどうぞ」

セーラー服姿の女子高生は、震える手で俺になにかを差し出した。

見るからに手作りだとわかるクッキーで、受け取るのをためらってしまう。

「ごめん」

「え?」

「俺、甘い物好きじゃないんだ」

「あ、そ、そうなんですか……?」

ごめん、ホントは好きだけど。

でも、手作りってちょっと重い。

期待させるのも嫌だしな。