もっと俺を、好きになれ。


ま、まさか、言わせるためにあたしに迫って……?

無駄にフェロモンがたっぷりで、口元にはうっすらと微笑が浮かんでいる。

斎藤くんはもしかして……狙ってやってる?

その目に見つめられると、心の中を見透かされているようで、こんなやりかた、ズルいよ……。

斎藤くんの持つ雰囲気に惑わされて抗えない。

「俺だって、叶ちゃんのことを知りたいと思ってる。だから、なんでも話してほしいんだけど」

そんなに甘い声で囁かないで。そんな目で訴えかけないで。もう……耐えられない。

「さ、斎藤くんが、花岡さんと仲良くしてるのを見て……それで、あたし」

とうとう口にしてしまった。

「見たくなかった……だって、斎藤くんと花岡さん、お似合い、なんだもん……」

こんなみっともないことを言うつもりはなかったのに。

う、顔から火が出そうなくらい情けなくて恥ずかしい。

「へえ、それで?」

クスッと笑われたような気がした。

頬が、耳が、顔が……熱い。

このまま溶けてどうにかなっちゃいそう。

クラクラ……するよ。

「ご、ごめんね、ただの嫉妬だから……気に、しないで」

「…………」

「さ、斎藤、くん……そろそろ、離れて……」