あたしは図書室から飛び出して、宏輝と最初に話した1-Bの教室の前に来た。


ここで宏輝がノートを落として、あたしが拾ったんだっけ・・・?それからたまに話すようになって、やっと付き合えるようになった。


思えばあの日から、あたしは宏輝1色だったんだ――。


「このまま、終わっちゃうのかな?」


別れを切り出したのはあたしのほうなのに、切なくなるのも、悲しくなるのも、苦しくなるのも全部あたしだけのような気がした。


まだ誰もいない教室の中を、あたしはゆっくり歩き回った。


宏輝が座っていたイス、宏輝が勉強に使っていた机。そして、いつも校庭にいるみんなを見ていた窓ガラス・・・。