後半
_それは、本当に信じがたい出来事だった。だがしかし、それは、偽りのない真実で。
私はどうしようもなくなり、号泣をする他はなかった。
*
時は今日の朝に遡る。
私はいつも通りの時間に学校へ行き、いつも通り、部室へと、軽い足取りで向かっていた。
ちなみに、朝練は、週二回(月木)ある。私の高校では、これでも多い方で、かなりハードとも言える。
そして私は、部室の前につくなり、毎日恒例の深呼吸をして、部室に入ろうとした、というか、入った。刹那だった。
言葉では言い表せない程の感情が私の脳内を、体中を、渦めく。
目の前には、先輩!なんて胸のトキメキを感じているどころでは、到底なかった。
なんと先輩は、部室の奥のカーテンの裏に隠れ、女と居た。それも、ハグだかなんだかは不明瞭だが、二人は凄い格好に。とにかく日が入ってくるおかげでカーテンに人のシルエットが浮かびあがり、いること、丸わかりといったところだ。
二人はというと、私が入ったことに気づかず、イチャついたままだった。
おまけに、声なんかも聞こえて。「功ぅ。大好きぃ~」「俺も。ずっと、イチャついてよーな?」なんて言っていた。
まあ、私は苛立ちでそれどころではなかった。普通に、嫉妬感情を抱いたから、という理由もある。だが、私はそれだけに苛立っていた訳じゃあない。
_何で、部室でなの?彼女か何か知らないよ?でも、そういうのは普通、人目のつかないとこでするっていうのがマナーってモンじゃないの!?いや、そうだろ……っっっ!!
私の感情はどんどん加速していき、気がつけば部室を飛び出し、気がつけば、廊下で思いきり叫んでいた。他にも生徒がいたことなんか、お構い無しに。
私は、今まで、何に期待していたの?
私が恋をしていた相手は、あんなクズで、最ッ低な男だったの?
私は、、、あんなのに、片想いをずっとして、美容とかに何円も費やしてきてたの?
そう思うと、自分がとても情けなく思えてきた。何故、私もこれ程迄に夢中になれたのだろうか、途中でチャラ男と気づくことは出来なかったろうか。と、考え、涙はボロボロと溢れ、溢れ、暫く止まらなかった。
止まらない涙は、廊下の古い床に、水溜まりを作っていく。
放課後。あれからとても長く感じた一日を背に、校門を抜ける。今日は数人の女子友達に、「なんかあった?大丈夫?目、晴れてる!」等、温かい言葉を投げ掛けてくれたが私は……。もう、返す気力すら残っていなかった。
そうして、一人とぼとぼと帰ろうとした。その時だった_。
私の頭上から、いつもの声が降りかかってくる。
登。
「な、一緒にかえろーぜ!」
彼は、笑顔いつも通り過ぎて、逆に私をもっと気落ちさせた。鈍感な登に。
どうせ、私がなんかあったなんて、気づいてないんでしょう?なんて思って。
「それどころじゃないの。私、今日、塾な訳…っ。じゃ、じゃあね!」
私は足早に、登から顔を背け、一人帰ろうとする。
だが。
それは、不意打ちだった。私の中の、時が止まる。
「え…」
唇に広がる温かいもの。私は思わず目をみはった。
キ、ス!?何で………。
単刀直入にいうと、私は男子に、生涯初、唇を奪われた。ファーストキス。
私の頬はどんどん火照っていく。
何故だろう。好きなんかじゃないはずなのに。意識なんて、微塵もしてなかった君なのに。
その味は_先輩のただ甘くてくどい性格とは、なんだかま逆のように感じた。甘酸っぱい、っていうのか。
キウイ味。
その単語が浮かんできた。
って……え?
「何で、の、登っ!?」
「あ、あぁ…///これは、とりまお前を黙らせるために…。いや、違ぇ!!」
彼は、視線を私だけに向け、息を思いきり吸う。
もう、元から言うことが決まっていたかのように言った。
「俺、お前が、、、廉花が、好きだ。だから、朝、お前が泣いてて、本っ当に悲しくなった。俺が守ってやろうと思ったんだよ。事情も知ってる。どうせ、憧れの高安先輩に、失恋したんだろ?あの人、チャラ男で有名だからな……。」
そこまで言うと、登は大きく、先程よりも大きく息を吸って、言った。
「悲しい時は、俺が守ってやりたい。こんな俺じゃダメかも知んないけど。頼りねーかもだけど。それでも。俺は、一応お前の幼馴染みだし、それに…。好きだ!ただただ、好きなんだ。だから、もし、こんな俺でも良かったら、俺と、付き合いませんか………??」
私は、今、とてつもなく嬉しい。
近くにいると、大切なものに、気づかない。これは、案外当たっているかも知れない。
先輩なんかより、登のほうがよほどいい。
まず、比べ物にるものではない。
私は、迷いもなく、だが、か細い声で…。こう言う。
「登が、格好良すぎるので…。まずは、友達から、よろしくお願いします……」
私と登の間には、沈黙。といっても、それは、濃密な沈黙が流れていた。
綺麗な綺麗な夕焼け空が、背景には、広がっていた_。
「ああ。それでもいい。とにかく、俺は、廉花を守りたい(笑)もう、リンゴなんて言わねーよ?廉花、だからな」
「それより、友達からって…今までの俺たちはなんだったんだよ??(笑)」
んー。
「ただの、幼馴染み。だったんじゃないのー?」
「わっ、サイテーだコイツ」
「もー、だーかーら、今日からは友達。いったんだから、ちゃんと私のこと守ってよ?ww」
「……おう」
_それは、本当に信じがたい出来事だった。だがしかし、それは、偽りのない真実で。
私はどうしようもなくなり、号泣をする他はなかった。
*
時は今日の朝に遡る。
私はいつも通りの時間に学校へ行き、いつも通り、部室へと、軽い足取りで向かっていた。
ちなみに、朝練は、週二回(月木)ある。私の高校では、これでも多い方で、かなりハードとも言える。
そして私は、部室の前につくなり、毎日恒例の深呼吸をして、部室に入ろうとした、というか、入った。刹那だった。
言葉では言い表せない程の感情が私の脳内を、体中を、渦めく。
目の前には、先輩!なんて胸のトキメキを感じているどころでは、到底なかった。
なんと先輩は、部室の奥のカーテンの裏に隠れ、女と居た。それも、ハグだかなんだかは不明瞭だが、二人は凄い格好に。とにかく日が入ってくるおかげでカーテンに人のシルエットが浮かびあがり、いること、丸わかりといったところだ。
二人はというと、私が入ったことに気づかず、イチャついたままだった。
おまけに、声なんかも聞こえて。「功ぅ。大好きぃ~」「俺も。ずっと、イチャついてよーな?」なんて言っていた。
まあ、私は苛立ちでそれどころではなかった。普通に、嫉妬感情を抱いたから、という理由もある。だが、私はそれだけに苛立っていた訳じゃあない。
_何で、部室でなの?彼女か何か知らないよ?でも、そういうのは普通、人目のつかないとこでするっていうのがマナーってモンじゃないの!?いや、そうだろ……っっっ!!
私の感情はどんどん加速していき、気がつけば部室を飛び出し、気がつけば、廊下で思いきり叫んでいた。他にも生徒がいたことなんか、お構い無しに。
私は、今まで、何に期待していたの?
私が恋をしていた相手は、あんなクズで、最ッ低な男だったの?
私は、、、あんなのに、片想いをずっとして、美容とかに何円も費やしてきてたの?
そう思うと、自分がとても情けなく思えてきた。何故、私もこれ程迄に夢中になれたのだろうか、途中でチャラ男と気づくことは出来なかったろうか。と、考え、涙はボロボロと溢れ、溢れ、暫く止まらなかった。
止まらない涙は、廊下の古い床に、水溜まりを作っていく。
放課後。あれからとても長く感じた一日を背に、校門を抜ける。今日は数人の女子友達に、「なんかあった?大丈夫?目、晴れてる!」等、温かい言葉を投げ掛けてくれたが私は……。もう、返す気力すら残っていなかった。
そうして、一人とぼとぼと帰ろうとした。その時だった_。
私の頭上から、いつもの声が降りかかってくる。
登。
「な、一緒にかえろーぜ!」
彼は、笑顔いつも通り過ぎて、逆に私をもっと気落ちさせた。鈍感な登に。
どうせ、私がなんかあったなんて、気づいてないんでしょう?なんて思って。
「それどころじゃないの。私、今日、塾な訳…っ。じゃ、じゃあね!」
私は足早に、登から顔を背け、一人帰ろうとする。
だが。
それは、不意打ちだった。私の中の、時が止まる。
「え…」
唇に広がる温かいもの。私は思わず目をみはった。
キ、ス!?何で………。
単刀直入にいうと、私は男子に、生涯初、唇を奪われた。ファーストキス。
私の頬はどんどん火照っていく。
何故だろう。好きなんかじゃないはずなのに。意識なんて、微塵もしてなかった君なのに。
その味は_先輩のただ甘くてくどい性格とは、なんだかま逆のように感じた。甘酸っぱい、っていうのか。
キウイ味。
その単語が浮かんできた。
って……え?
「何で、の、登っ!?」
「あ、あぁ…///これは、とりまお前を黙らせるために…。いや、違ぇ!!」
彼は、視線を私だけに向け、息を思いきり吸う。
もう、元から言うことが決まっていたかのように言った。
「俺、お前が、、、廉花が、好きだ。だから、朝、お前が泣いてて、本っ当に悲しくなった。俺が守ってやろうと思ったんだよ。事情も知ってる。どうせ、憧れの高安先輩に、失恋したんだろ?あの人、チャラ男で有名だからな……。」
そこまで言うと、登は大きく、先程よりも大きく息を吸って、言った。
「悲しい時は、俺が守ってやりたい。こんな俺じゃダメかも知んないけど。頼りねーかもだけど。それでも。俺は、一応お前の幼馴染みだし、それに…。好きだ!ただただ、好きなんだ。だから、もし、こんな俺でも良かったら、俺と、付き合いませんか………??」
私は、今、とてつもなく嬉しい。
近くにいると、大切なものに、気づかない。これは、案外当たっているかも知れない。
先輩なんかより、登のほうがよほどいい。
まず、比べ物にるものではない。
私は、迷いもなく、だが、か細い声で…。こう言う。
「登が、格好良すぎるので…。まずは、友達から、よろしくお願いします……」
私と登の間には、沈黙。といっても、それは、濃密な沈黙が流れていた。
綺麗な綺麗な夕焼け空が、背景には、広がっていた_。
「ああ。それでもいい。とにかく、俺は、廉花を守りたい(笑)もう、リンゴなんて言わねーよ?廉花、だからな」
「それより、友達からって…今までの俺たちはなんだったんだよ??(笑)」
んー。
「ただの、幼馴染み。だったんじゃないのー?」
「わっ、サイテーだコイツ」
「もー、だーかーら、今日からは友達。いったんだから、ちゃんと私のこと守ってよ?ww」
「……おう」