____ジリジリジリ…

「ふわあぁ…もう朝か…」
遥は眠い目を擦りながら騒ぎ立てる目覚まし時計を叩いた。
今日は高校の入学式だ。

「高校ってどんなところなのかなぁ。」
期待に胸を膨らませ、いつもより軽い足取りで支度を始めた。

「よし!準備おっけー。」
準備を終え、カバンを手に取った瞬間

〝ピーンポーン…〟
チャイムの音が鳴った。

「げ…。」
遥はインターホンの前の主を想像して顔をしかめた。

〝ピンポーン、ピンポーン〟
「おい、遥!早くしろよ!!」
声の主は隣に住む九ノ瀬涼だ。

「あぁ、もう!うるさいな!」
叫んだ遥は急いで靴を履いた。

「これじゃあ中学の時となんも変わらないじゃん…」
そう、遥と涼は幼なじみなのだ。
幼稚園の時からの付き合いなのでお互いのことはよく知っている。
せっかく高校生になったら何か変わるかと思っていたのに…変わんないじゃん!という言葉を飲み込んで遥は玄関のドアを開けた。

「ぼやぼや言ってねーで早くいくぞ!」
「はいはぁい…」

こうしていつも通りの日常が始まった。