犯人達が一回目の発砲をした時、咄嗟に銀行員の誰かが非常ベルを押した事。

すぐに警察が駆けつけ、数人の私服警察官が一般人を装って銀行の前を通過。
そこから見える範囲では目出し帽の男二人しか見えなかったが拳銃らしき物を持っていて、一般人の何人かがまだ中に残っていたことから早急に特殊班に要請がいった。

犯人が逃走を図ってもすぐに対処できるように、歩道と車道を封鎖。
特殊班も到着し、銀行内の様子を見る為にまた一般人を装ってバレないように疎らの間隔を開けて歩道を行き来していたところ、警察側からも確認できる位置に智大が移動していて、片手でサインを送っていたそうだった。

ーー犯人は三人。
拳銃は一丁。
球数は後二発。
無くなり次第、主犯格を確保する。

後は藍里も知っての通り、球数が無くなった瞬間を狙って確保。
智大からの情報もあって特殊班や警察も迅速に動くことが出来て、あっという間に事件解決へとなった。

「そっか……だから私のところに……」

発作の心配をする振りをして出入り口から見えやすい位置にいた藍里の隣を陣取ったと、そういうことなのかと藍里は納得した。
そうでなければ自分を嫌っているはずの智大がわざわざあの緊張状態の中動いたりはしないだろうと、そう思うと藍里は納得すると同時にどこか物悲しい気持ちに苛まれた。