すれ違いお見合い結婚～相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~

「この二人が公園で言い争いを始めて、暫くしたらた倒れてしまったと聞きました。幸い発作はおこされてなかったようなので、ここで休んでもらってましたが……大丈夫でしたか？」

「あ、は、はい……」

「容態に変化がなければ大丈夫だとは思いますが、身重なので出来ればお迎えを……。ご主人は……きっと今いませんよね」

「そう、ですね……」

智大がいたのなら以前のような動きができない藍里を心配して、必ず買い物にもついてきただろう。

……そういえば妊娠する前も、関係が悪かった時も、智大は藍里の買い物に嫌な顔一つせずに必ずついてきてくれていた。
口には出さなかったが、その時からも藍里の一人歩きを心配してくれていたのだろうか。

暫くそんなことを考えていたが、松浦が答えを待っているのを思いだして、主人は無理です。と言うと松浦は悩むような仕草をした。

「前回来られたお義兄さんとかは……」

「いえ……そう何度も迷惑かけられないので……。大丈夫です、一人でゆっくり帰ります」

「それは駄目です」

「それは駄目だ」

藍里の言葉に吉嶺と、何故か汐見が同時に反対した。
首を傾げると二人はそれぞれ反論を口にする。

「もしまた何かあって倒れたらどうするんです？そんなことになったら危険じゃないですか！見ず知らずの通りすがりの男が、藍里さんの可愛らしさに目が眩んで絶対お持ち帰りしますよっ！」

「いや……えっと……？」

「んな訳ないだろ。あんたの方がよっぽど危険じゃないか。俺が送る。……ここであんた一人で返したとなったら、先輩の俺に対する評価が下がるじゃないか」

「主人は……そんなことで評価を下げる人では……」

ない、と思うがどうだろう？
最近の智大は過剰なほど藍里を甘やかしてくれている。
妊娠して、お腹がどんどん膨れるのに比例して動きにくくなっている藍里を見ているからか余計に。

藍里がまたも考え出したので松浦が代わりに、家に送り届けるのは汐見に任せると結論を出してしまった。