すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~

「やっぱり……全然普通じゃないか」

「え……?」

一体何が普通なのかと首を傾げると、さっきまで視線をさ迷わせていた汐見が睨み付けるような眼差しを向けてきた。

「先輩達が、あんたが極度の男性恐怖症だって言うから……でも怖がってる感じもしないし、普通に言い返してくるし。……あんた、みんなに嘘ついてたんじゃないのか?」

「う、嘘なんてついてません……っ!私は……っ……!」

「こらそこっ!藍里さんに絡むなっ!!」

藍里が反論しようとしたところ、何処からともなく聞きなれた声が聞こえてきた。
そういえば、この公園はあの人の出没スポットだったと思い出しながら振り返ると、眉を吊り上げた警官姿の吉嶺が駆け寄ってくるところだった。

「え、何あいつ」

明らかに面倒臭そうな顔をする汐見には目もくれず、吉嶺は近付きすぎないように一定の距離で止まり、藍里に挨拶すると顔を綻ばせた。

「藍里さん、お久しぶりです!お元気そうで何よりです」

「お、お久しぶりです」

ペコリと頭を下げて挨拶すると、吉嶺は藍里のお腹を見て驚いていた。
そして案の定、双子ですか?と聞かれて苦笑しながら否定した。

「違うんです。その……あまりにも大きいから、みんなにもよく間違われちゃって……」

「そうなんですね、失礼しました。それにしても、もう生まれるんですね……」

感慨深そうに呟く吉嶺に頷いていると汐見が、だからこいつ何なんだ……。と呟いていた。