すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~

「し、おみさ……」

「何一人で喋ってるんだよ。怪しすぎる」

見下ろされる瞳は冷たくて、まるで一昔前の智大のようだと思った。
藍里が座ってる反対側のベンチの端に汐見が座り、チラッと真ん中に置かれていたスーパーの袋を見て深く溜め息をついた。

「何?買ったのこれだけ?先輩の大事な体作る料理なのに、手抜きなの?」

「て……手抜きなんてしません……っ!ただ、主人が心配して重い物を買ったり運んだりするなって言うから、最低限の物しか買わなかったんですっ!」

「先輩の優しさに甘えてるの?甘えるだけの女なんて重いだけだと思うけど」

「す、少しは甘えてますけど……でも、私の出来る範囲でちゃんとやってますっ!!」

汐見の攻めるような言い方に前回のように思わず反論していると、横目でじっと見られて体を引いてしまった。
ゆっくりと開かれる唇に次は何を言われるのかと身構えていると、買い物袋、藍里、回りの景色へと視線をさ迷わせていた汐見が少し躊躇った後に小さく呟いた。