「痛むのか？」

「そ、そんなこと……」

「無理するな。俺には分かることのないことだから、ちゃんと話せ」

再び視線を合わせられれば、誤魔化しは許さない。と言うような真剣な眼差しを向けられた。
視線をさ迷わせてどう言おうか悩んでいたらまた思いきり伸びられて、い、た……っ！と声が出てしまった。

「ほら、痛むんだろ？」

「……いつもじゃないんだよ？こう、元気に動かれたり、手や足を突き出された時にたまに……っ……」

今日はかなり活発に動いているらしい我が子に藍里は眉を潜める。
すると、智大に抱き上げられたかと思うとそのまま寝室に連れていかれ、ベッドに横向きに寝かされると藍里の後ろで横になった智大がそのまま抱きしめてきて、赤ちゃんが動いているお腹をポンポンと優しく叩いた。

「そこから出てきたらたくさん遊んでやるから、もう少し大人しくしてろ。藍里が痛がってるだろ」

まるで抵抗するかのように思いきり蹴られ、体を跳ねさせると智大がギュッと強く抱きしめてきた。

「お前の母親は小柄だから、あまり暴れると痛むんだ。手加減してやれと前にも言っただろ？動きたかったら、ゆっくり動け」

そこからは少しずつ緩やかな動きになり、手や足が突き出てきても先程のような痛みを感じることはなかった。
藍里が驚いていると、ポンポンとお腹を手のひらで叩いていたのが労るように優しく撫でるような動きに変わったのに気付いて、ゆっくりと後ろを振り返った。