「っ……い、た……」

九ヶ月にもなるとさらにお腹が大きくなり、胃が圧迫されて食欲がかなり減退した。
少し動くだけで息切れもするし、お腹の重みのせいで腰が痛む。
最近ではお腹の中の赤ちゃんが手足を伸ばしているのかググッと内側からお腹を押し、手か何かがポコッと出てくるようになった。

初めて見た時には驚いたし、小さくて可愛いと外側から撫でてみたりくすぐってみたりもして遊んでいたのだけれど、藍里の体格に対して大きく育っている赤ちゃんが思いきり伸びてくると、徐々に痛みを伴うようになってきた。

しかもかなり元気な赤ちゃんは手加減を知らないらしく、今もまたソファーで座っていたら手を突き出してきたので藍里は痛みを我慢しなければいけなくなった。

「どうした?」

「ん……ここ、ポコッてなってるの」

顔を歪ませていた藍里に気付いた智大は持っていたコーヒーカップをテーブルに置き、藍里が示した場所を断りをいれてからそっと触る。
不自然に盛り上がった場所に驚きながら、初めて赤ちゃんの体の一部となるものに触れたことに喜びもあるのだろう。
愛しそうに突起のような物を撫でていると一度引っ込み、また勢いよく突きだしてきた。

「っ……!」

痛さにビクッと体を揺らすと、異変に気付いた智大が顔を上げた。
慌てて笑顔を作ろうとしたが失敗してしまったのを見て、智大はまたお腹に視線を移した。