「俺は藍里に似てると思う」

診察帰り、近くのファミリーレストランでランチをしていたら、貰ったエコー写真を見ながら智大がそう言たので藍里は数回瞬きをした。

「そう、かな……?私は智君に似てると思ったけど」

「いや、この口元とかは藍里に似てるだろ」

「えー?この目元の所とかは智君そっくりだよ」

エコー写真を二人で見ながらそう言っていたら、ランチを運んできた店員に微笑ましいものを見るような目で見られてしまった。
少し恥ずかしく思いながらランチで頼んだオムライスを食べていると、智大がふっと笑った。

「後二ヶ月だろ?楽しみだな」

「そうだね。あ、あのね?出産の時に智君がお休みだったら、立ち会いも出来るんだって」

「立ち会いか……してみたいが、藍里は嫌じゃないのか?」

「私は傍にいて欲しいかな……。智君がいてくれるだけで、すごく頑張れそう」

一人での出産は少し不安があるが、傍で智大が手を握ってくれたのなら、きっといつも以上に勇気が湧いて頑張れそうな気がする。
そう笑顔で言うと智大は一度頷いた。

「予定日が近くなったら立ち会えるように先輩に交渉してみる」

「うん、ありがとう」

特殊な仕事だし、出産も予定日通りに出来るとは思っていない。
かなり難しいだろうなと理解しながらも、智大がそう言ってくれるだけで嬉しく感じた。