「それでは、性別は生まれるまでのお楽しみでいいですか?」

「はい、それでお願いします」

「分かりました。では、赤ちゃんの様子を見ていきますね。パパさんも、こちらの画面を見ていてください」

今日の検診ではエコー室と言う所に入って、お腹に機械を当てて赤ちゃんの様子を見ることになっていた。
偶然今日が夜勤で午前中は時間があった智大に声をかけたら喜んでついてきて、今は藍里が寝ているベッドの足元の椅子に座り、少し緊張した面持ちで画面を見ていた。

一昔前のテレビのように、モノクロで波打ってるようなエコー画面では医師に説明されてもどれが赤ちゃんのどの部分か分からなかったけれど、とあるボタンを医師が押したら画面がクリアになり、赤ちゃんの顔立ちがはっきり分かって驚いた。

「ああ、今口に指を入れてますね。赤ちゃんらしい仕草で可愛いですねー」

医師の言う通り、画面に写っている赤ちゃんは小さな親指を口に入れているようだった。
どことなく顔つきが智大に似ている気がして目を細めて見ていると、口から指を離した赤ちゃんの口角が上がった気がした。

「あ……笑った……?」

「笑いましたねー。表情豊かな子ですね」

やっぱり笑ったんだと藍里も嬉しくなって微笑み、チラッと智大に視線を移すと、智大は無言で、食い入るように画面を見続けていた。