すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~

「少し大事にしてもらってるからって調子に乗るなよ!?あんたみたいな弱くて頼りにならない奴、すぐに見放されるっ!!」

「っ……そんなことありませんっ!それに少しどころではなく、すっごく大事にされてますっ!!」

「それも今だけだって言ってるんだっ!!」

「そうだとしてもいいんですっ!私が主人を信じてるからいいんですーっ!」

まるで子供の喧嘩のような言い合いをしていた藍里と入江は、力が入りすぎて肩で息をしている。
そんな二人に耐えきれないとでも言うように三人が同時に吹き出したので藍里と汐見が目を丸くすると、三人はお腹を抱え、声を出して笑い始めた。

「あははははっ!!凄いな嫁さん!少し見ない間に強くなったな!」

「まさか汐見と言い合うとは思いませんでした!いや、良い意味で予想を裏切ってくれましたね……!」

笑いすぎて涙まで出てきたらしい二人が涙を拭いながら話すので、藍里は戸惑いながら智大を見た。
すると智大はすでに笑いがおさまっていたようで、目を細めて藍里を見つめていた。

「と、も君……?」

呼び掛けても何も言わない智大に藍里が首を傾げると室山が、あー、笑った笑った!と満面の笑みで汐見を見た。

「分かったか?お前が何を言っても、永瀬と嫁さんにはすでに深ーい絆が結ばれてるんだ。お前が永瀬を取られたくなくてどれだけ喚いても無駄なんだよ」

「そ、そんな子供みたいなことしてませんよっ!」

「お前、自覚なかったのか!欲しい物が手に入らない子供みたいだったぞ!」

再び声をあげて笑いだした室山と入江に顔を真っ赤にして汐見が反論している。
思ったよりも和やかな雰囲気になり、藍里も肩の力を抜いて小さく笑うのだった。