すれ違いお見合い結婚~相手は私を嫌ってるはずの幼馴染みでした~

日に日にお腹は大きくなり、七ヶ月になる頃には立派な“妊婦さん”になっていた。

小柄で細身の藍里に対して、膨らんだお腹は特に目立つ。
藍里も今まで経験したことのないお腹の重みと膨らみに、前屈みになることも俊敏に動き回ることも大変になっていた。

言いもしてないのにそんな藍里の様子に一早く気付いた智大は、これまで以上に率先して家のことなどをやるようにしてくれていた。
そんな智大の協力のおかげで藍里はほぼ負担なく過ごせて、赤ちゃんも順調に育っている。

全てが幸せで、まるで夢のような穏やかな日々を暮らしていた藍里は深夜、お腹に違和感を感じて目を覚ました。

「ん……?」

もぞもぞと智大に抱きしめられていた腕から少しだけ離れ、藍里はそっとお腹に触れる。
暫くしても何も感じなかったので気のせいかと思いもう一度寝ようと智大に擦り寄ろうとした時、ポコンッとお腹に今まで感じたことのない衝撃を感じた。

「わ……っ?」

思わず出してしまった声に、智大がピクッと反応して目を覚ます。
咄嗟に謝ろうとしたが、続いて訪れた衝撃に藍里は何度もお腹と智大を交互に見た。

「藍里?どうし……」

「智君……!動いた……っ!」

何を、とは言わずに簡潔に言ったが智大には十分伝わったようで、眠そうだった目は完全に開き、ガバッと体を起こした。