それから一週間が経ち、智大も藍里も休みの日にショッピングモールにベビー用品を見にやってきたのだけれど、色々な可愛いらしい物がたくさんあり藍里は目移りばかりしていた。

「わぁ……この食器、小さくて可愛い……!」

「当分使えないだろ」

「あ、口に入れても大丈夫なクレヨンだって!」

「対象年齢見てみろ。一歳半からだ」

「このパジャマ……」

「明らかに新生児用じゃない」

藍里が手に取るもの全てに的確な指摘をする智大は、呆れながらも目元は緩んでいて、一緒に楽しんでいるのが分かる。
どちらかと言えばベビー用品を見るのが楽しいわけではなく、ベビー用品を見て笑顔を見せている藍里を愛でるのが楽しいのだけれど、商品を見るのに夢中になっている藍里はそんな智大の想いに気付かずに、新生児用のコーナーへと智大の手を引いて歩いていた。

「ベビーベッドかぁ……」

「一緒のベッドで寝たら必要ないだろ?」

「でも、寝てる時に踏み潰しちゃいそうで怖いよ」

「誰もそんなに寝相悪くないだろ」

一つ一つ見てみてはあれこれと意見を言い合って悩む。
一向に買うべき物、買わなくてもいい物が決まらずに困っていると、遠目から二人の様子を見ていた店員が笑顔で近づいてきた。