「今度の検診でね、赤ちゃんの性別が分かるんだって。もし知りたくないなら前もって言ってくださいって言われて……智君はどっちがいい?」

「性別か……」

お腹に手を置いたまま考え出した智大をじっと見つめる。
暫くすると不意をつかれて触れるだけのキスをされてしまい、藍里は目を丸くして固まった。

「な……っ……!」

「じっと見つめてくるから、つい」

「つ……“つい”、じゃない……!」

油断も隙もあったもんじゃないと胸に顔を押し付けると、智大は楽しそうに笑いながら藍里を抱き直した。
そして、俺はどっちでもいいかな。と答えたので藍里は少しだけ顔を上げて上目遣いで智大を見た。

「……どっちでも?」

「ああ。もし藍里が生まれる時までの楽しみにしていたかったとしても、俺が知りたいと言ったら聞かないといけなくなるだろ?
性別はどっちでもいいんだ。ただ、元気に生まれてきてくれれば。だから、藍里に任せる」

「……」

頭を撫でながら言われて、藍里はゆっくりお腹に視線を向けた。
未だに触れたままの智大の大きな手の上に小さな手を重ねると、藍里は考えこんだ。