「悪かった、少し苛めすぎたな。そんなに俺の服が着たいなら、いつでも着ればいい」

「そ、そんなこと言ったらお腹大きくなってなくても、生んだ後でも着ちゃうからねっ!?」

「好きに着ればいい」

未だに笑いを止められないままの智大がそう言うと、突然藍里を抱き上げて藍里は慌てて智大の肩に手を置いた。

こんな所で……!と思ったが辺りをよく見るといつの間にか家の前にいた。
智大は慣れた手つきで鍵を外すと中に入り、そのままの体勢で器用に藍里の靴を脱がした。

「好きに着てもいいが……産後にも俺の服を着る場合、それ相応の覚悟はしておけよ?」

「覚悟……?」

言葉の意味が分からず首を傾げるが、智大は無言だった。
階段を上がって寝室に入り、そっとベッドに寝かされると、体を起こす前に智大に覆い被さられてしまって目を丸くした。

「と、智君……?」

「覚えとけよ、藍里。好きな女が自分の服を着てるのを目の当たりにするだけで、男は我慢できなくなる」

「我慢って、何を……」

「……ひたすら甘やかしたくなるってことだ」

意味ありげに智大の指先が藍里の下腹部を撫でると藍里はピクッと反応し、言葉の意味を理解すると同時に赤面する。
目を泳がせ、明らかに狼狽えている様子を見せた藍里は智大に深く口付けられ体を強張らせた。

「今はこれで我慢してやる」

「智く……っ……」

話す隙を与えないとでも言うほどに深く長い口付け繰り返されて息も絶え絶えになった頃、藍里は体の力が完全に抜けると同時に恥ずかしさの限界を越えてしまい意識を手放した。