「あのね、来週の検診では心臓の動きが見れるかもしれないんだって」

「そうか」

「それでね、もっと赤ちゃんが大きくなったらエコー検査でハッキリした写真が撮れるんだって。もし行けたら一緒に行こうね」

「ああ」

普段よりお喋りになっている藍里とは対称的に、智大は普段より口数が少ない。
以前の藍里なら機嫌が悪いのかと誤解して怯えていたけれど、今はそんなことはなかった。

何故ならソファーに深く腰かけた智大の足の間に座らされた藍里は背中を智大の胸に凭れさせ、智大は右手でエコー写真を持ち、左手で優しく藍里のお腹に手を当てていたからだった。

たまにそっとお腹を撫でられると擽ったさに身動いでしまいそうになるが、智大が幸せそうに目を細めているので必死に我慢している。

「気分は悪くないのか?」

「うん、大丈夫。悪阻もまだ本格的に始まってないし……。今はよくお腹がすいて、小まめに何か食べたくなるくらいかな?」

「今もか?腹が減ってるなら何か持ってくるぞ?」

「ううん。今は幸せでお腹一杯」

お腹に触れたままの智大の大きな手にそっと触れると、藍里はにこりと微笑む。
その瞬間にまた強めに抱きしめられてしまったが、今度はちゃんと配慮してくれてるのか苦しくなることはなかった。