「俺はいつでもいいと思う。早くても遅くても、授かり物だからな」

「……うん、そうだね……」

智大の言葉に小さく頷いて、藍里はいつか訪れるのであろう赤ちゃんに想いを馳せようとした。
……が、智大の次の言葉に藍里は想いは馳せるどころではなくなってしまった。

「もし授かるなら娘がいいな。息子と言えど、藍里が俺以外の男に気を許すのはあまり見たくない」

「ええ……っ!」

「あ!俺も女の子希望です!藍里さんの子供なら、きっと藍里さんに似て小柄で可愛い女の子になるはずです!是非とも俺のお嫁さんに……!」

「あら、女の子の多くは父親に似るのよ?永瀬似の女の子……ふふっ、想像つかないわね。それより、男の子も可愛いわよー?母親にベッタリくっついてくる所なんてもう……」

そこからは千栄と吉嶺、たまに智大が口を挟んでまだいもしない藍里の子供への熱論を交わしていた。

暇になってしまったのか、千栄の赤ちゃんがいつの間にか腹這いで藍里に近寄ってきたので抱き上げてみれば、その子はふにゃっと笑ってから眠そうに目をしばたかせていた。