『へえ、なかなか良い写真じゃない』

「そうでしょう?お気に入りなんだよー」

智大とデートをして写真を撮ったことを千栄に話すと、すぐに送れと言われた。
送った後すぐにかかってきた電話に藍里が頬を緩ませていると千栄が、これで本当に安心したわ。と言った。

「え?」

『だって、藍里と永瀬よ?いくら口では大丈夫だって言っても今までのことがあったもの。やっぱりどこか無理してんじゃないかって疑ってたんだけど……藍里、自然に笑ってて楽しそう』

「うん……すごく楽しかったよ。だから、本当にもう心配しなくて大丈夫!」

『いやー……やっぱり永瀬の様子をこの目でちゃんと見るまで心配かも。万が一にも藍里をまた悲しませたり蔑ろにするような態度とったら、その場で藍里を連れ去ってやるわ』

「えー?」

千栄の本気とも冗談とも取れる言葉に藍里がクスクス笑い、近くに置いていたカレンダーに目を向けた。

「そう言えば明後日だね、同窓会」

『そうね。藍里は永瀬と一緒に行くの?』

「うん。智君が仕事だから少し遅くなるかもしれないけど、待ち合わせして一緒に行こうって話してる」

『そっか、じゃあ同窓会場所の居酒屋に向かう時に連絡頂戴。お店の前で出迎えてあげるから』

「ふふっ、ありがとう。絶対連絡するね」

それからいつものように少しの雑談をして通話を切ると、藍里は再びカレンダーに目を向けた。
久しぶりに会う友達へのワクワクと、会いたくない人達もいるモヤモヤとで藍里は一昨日から緊張していて食事も手につかなかった。

そのことに気付いた智大が心配して、少しでも食べれる物をと果物やアイスを毎日買ってきてくれているのを申し訳なく思いながら、藍里は気持ちを落ち着かせるためにそっと目を閉じた。