「お客様、従業員への不躾な接近はお控えください」
「せ、先輩……」
綺麗な笑みを浮かべ、小さく震えていた藍里の肩をしっかり掴んだ先輩は圭介にはっきりとそう言うと自然な動作でそのまま藍里を自分の背後へと隠した。
その一連の動作に呆気にとられたような顔をしていた圭介は、先輩の顔を見ると困ったような笑みを浮かべ頭を下げた。
「すみません、ちょっと近付きすぎました。……ごめんね、あいちゃん」
「だ、大丈夫……です」
咄嗟に出たその言葉は嘘であり、嘘ではなかった。
不用意に近付かれた驚きと恐怖に今も震えは止まらないし、心臓も悲鳴を上げているかのように激しく動いている。
けれど、圭介だからまだこれくらいですんでいるのを藍里はちゃんと分かっていた。
これがもし、智大だったら……。
そう想像しただけで、ぶわっと冷や汗が出て息が苦しくなった。
ーーあ……これは……。
そう思った瞬間には息がヒューヒュー鳴り出した。
咳も出だして少し前屈みになり先輩の服を掴むと、先輩と圭介が藍里の異変に気付き目を見開いた。
「小蔦っ!?」
「あいちゃんっ!?」
驚く二人に大丈夫だと言いたかったけれど、息が苦しくて声に出せなかった。
足に力が入らなくなるその前に、大きな手が体に触れて抱き上げられたのを感じた。
「せ、先輩……」
綺麗な笑みを浮かべ、小さく震えていた藍里の肩をしっかり掴んだ先輩は圭介にはっきりとそう言うと自然な動作でそのまま藍里を自分の背後へと隠した。
その一連の動作に呆気にとられたような顔をしていた圭介は、先輩の顔を見ると困ったような笑みを浮かべ頭を下げた。
「すみません、ちょっと近付きすぎました。……ごめんね、あいちゃん」
「だ、大丈夫……です」
咄嗟に出たその言葉は嘘であり、嘘ではなかった。
不用意に近付かれた驚きと恐怖に今も震えは止まらないし、心臓も悲鳴を上げているかのように激しく動いている。
けれど、圭介だからまだこれくらいですんでいるのを藍里はちゃんと分かっていた。
これがもし、智大だったら……。
そう想像しただけで、ぶわっと冷や汗が出て息が苦しくなった。
ーーあ……これは……。
そう思った瞬間には息がヒューヒュー鳴り出した。
咳も出だして少し前屈みになり先輩の服を掴むと、先輩と圭介が藍里の異変に気付き目を見開いた。
「小蔦っ!?」
「あいちゃんっ!?」
驚く二人に大丈夫だと言いたかったけれど、息が苦しくて声に出せなかった。
足に力が入らなくなるその前に、大きな手が体に触れて抱き上げられたのを感じた。



