「すみません、お待たせしました……」
早めに休憩を終わらせた藍里が恐る恐る受付に顔を出すと、待っていた男性は藍里を見て安心したような顔をした。
「休憩中にごめんね。指名制度もないのに無理言って……どうしても、あいちゃんと話したかったから……」
申し訳なさそうに眉を下げ、藍里が怖がらないようにその場から少しも動かず藍里から近寄ってくるのを待っている男性の細やかな優しさと気遣いは、最後に会った一年前の結婚式の時と変わっていなかった。
「えっと、その、大丈夫……です」
「そう?良かった……。あ、今日お願いしたいのはマルチーズのマルちゃん。
女の子だから、あいちゃんとも仲良く出来るんじゃないかな?」
そう言いながら男性がキャリーから出したのは、まだ小さな白いマルチーズ。
その愛らしい姿に藍里は目を輝かせると、受付から出てほんの少しだけ近付いた。
「わあ……可愛いですね。生後どれくらいですか?」
「六ヶ月になるかな?初トリミングはあいちゃんにってずっと考えてたんだよ」
そう言ってさっきよりも近距離になった男性は目を細めて柔らかく微笑むが、藍里は視線をさ迷わせてしまった。
線が細く、優しい物言いと雰囲気のおかげで男性の中でも珍しく藍里がそこまで恐怖を感じなくても済む唯一の人物。
藍里のことを“あいちゃん”と呼ぶこの人は智大の実の兄、永瀬圭介で年は離れているけど一応藍里の幼馴染みだった。
早めに休憩を終わらせた藍里が恐る恐る受付に顔を出すと、待っていた男性は藍里を見て安心したような顔をした。
「休憩中にごめんね。指名制度もないのに無理言って……どうしても、あいちゃんと話したかったから……」
申し訳なさそうに眉を下げ、藍里が怖がらないようにその場から少しも動かず藍里から近寄ってくるのを待っている男性の細やかな優しさと気遣いは、最後に会った一年前の結婚式の時と変わっていなかった。
「えっと、その、大丈夫……です」
「そう?良かった……。あ、今日お願いしたいのはマルチーズのマルちゃん。
女の子だから、あいちゃんとも仲良く出来るんじゃないかな?」
そう言いながら男性がキャリーから出したのは、まだ小さな白いマルチーズ。
その愛らしい姿に藍里は目を輝かせると、受付から出てほんの少しだけ近付いた。
「わあ……可愛いですね。生後どれくらいですか?」
「六ヶ月になるかな?初トリミングはあいちゃんにってずっと考えてたんだよ」
そう言ってさっきよりも近距離になった男性は目を細めて柔らかく微笑むが、藍里は視線をさ迷わせてしまった。
線が細く、優しい物言いと雰囲気のおかげで男性の中でも珍しく藍里がそこまで恐怖を感じなくても済む唯一の人物。
藍里のことを“あいちゃん”と呼ぶこの人は智大の実の兄、永瀬圭介で年は離れているけど一応藍里の幼馴染みだった。



